ある日Twitterを眺めていたら、こんなツイートが流れてきました。
なんとな~く気になってほかのツイートも拝見していると、このまま売れなければ絶版になってしまう、と。
ということで、買ってみました。レビュー記事です(/・ω・)/
アイスやさんの“こたろう”が、ひょんな事から地獄に行ってアイスを作るお話
絵本のレビューって実は難しいんですよね(^^;
あらすじを紹介しようにもネタバレに慎重にならないといけない。絵の雰囲気を伝えようにも、掲載可能なのは表紙だけ、というケースがほとんど。
ただ、こちらの絵本の場合、YouTubeに紹介動画があるので、ぜひご覧いただければ。
意味ありげに落ちているバナナの皮
YouTubeのサムネイル、よく見るとバナナの皮が落ちていますよね。
うちの子は今5歳、年長さんの学年です。(記事執筆時)絵本が届いてから、このページを見せた時、すぐさまバナナの皮の存在に気付きました。
事前にYouTubeの紹介動画は見せていたけど、実は1回しか見せていないし、すぐ流れて行ってしまうから細かい部分まで見てないはず。
絵本でバナナの皮を見つけた時、

ねえねえ!バナナの皮!落ちてるよ?
ダメだよね?危ないよね!
と言った。
こ、これは・・・。「伏線」の存在に気付き、次の展開を予測したのか!(・∀・)
以前、子供の年齢別でおすすめの絵本の紹介をするNHKの番組を見ました。4歳頃から?「次の展開を想像させるもの」「考える時間を与える」というようなことを言っていたと思います。(うろ覚え)
そういえば、昔なら次の展開を予測するとか無かったよなぁ・・・としみじみ。
地獄で火事が起きた原因が「屁」。
ネタバレになっちゃうのでこれ以上書きませんが、「屁」。
子供の爆笑ポイントなんじゃないでしょうか・・・(;´∀`)
うちは女子ですが、男子ならすごい反応するんじゃないかと(笑)
私は大学生の頃、英米児童文学のゼミにいたのですが、教授が「子どもは下ネタが大好きでね・・・成長の過程で必ず興味を持つ云々・・・くまのプーさんのpoohの名前は、pee(おしっこ)とかpoo(うんち)を連想させて云々」とお話されていたのをよく覚えています(笑)
・・・いや、プーさんの名前の由来はもちろん、別にあるんだけどね?
本来プーとは、ミルン親子が頻繁に訪れていた公園の白鳥に付けられた名前だったはず。
当時のイギリスの子供たちが、「プー」という名前を聞いてどんな反応してたかなんて、私は知らない。
鬼たちと協力してアイスの材料を調達する冒険的ストーリー
火事をなんとか消して暑がる鬼たちに、こたろうは「アイスつくれるで」と言うんです。
でも、当然材料を調達しなければならないわけで。
鬼たちと一緒に出かけるのですが、ここで登場するのが「デラックスプテラノドン」、「マッドホルスタイン」。
詳しくは書かないよ!(・∀・)
あれっ?って感じ。日本昔話のような雰囲気だったのに、いきなり西洋のファンタジーのような異世界に吹っ飛ばされる感覚。
材料調達のシーンは見開きで1ページだけですが、一気に世界観が変わる感じが新鮮。
いいアクセントになってる感じがします。
意外と細かく描き込まれた生き生きとした挿絵
『じごくにアイス』という絵本、挿絵をよく見ると細かい所まで丁寧に描き込まれているんですよね。
YouTubeのサムネイルになっているページ、あれは冒頭の方なんですが、

ねこちゃん!かわいい!
アイス!メニューいっぱい!
バニラ、チョコレート、オレンジ~…
と、こんな感じで先に進めなかったので、しばらく好きなように眺めさせていました(笑)
地獄の描写
地獄の描写も、よく見るとなかなか興味深い。
背景として描かれているけど、「はりやまじごく」「かまゆでじごく」など、いわゆる「地獄での罰」が名前付きで描いてある。
地獄がどんな場所なのか、行ってしまったらどうなるのか、さりげなく情報として入ってくるんですよね。
こたろうは悪いことをして地獄に行ったわけじゃないから、地獄の苦しみを味わうことはないんだけど、「地獄に落ちる」恐怖をライトに与えることはできるんじゃなかろうか。
こういう、結構ガチな絵本もあるけど↓
子供に与える勇気は今のところ無い(^^;
アイスを食べたときの鬼の顔
ページの写真を載せる訳には行かないのですが。
アイスが完成して、いざ食べてみた鬼。
ペロ~~ン!
「あぁー! うまいっ!」
作/ナカオマサトシ 絵/澤野秋文『じごくにアイス』 ひさかたチャイルド, 2020年
と言ってたときの、顔、が!

な、なんか…
こういうプロレスラーいそう…

ね!それ思った!
ちょっと長州力っぽくない?

いや、どっちかというと…
天龍源一郎かな…
髪のもじゃもじゃ具合とか…

あー!確かに!
天龍源一郎がアイス食べてうっとりしてる…!
なんかこのページだけ表情がリアルだったのよ・・・(笑)
なんだよもう。天龍ボイスでセリフが脳内再生されるじゃないか。
懐かしさと新しさと、失われつつあるものを感じた絵本でした
子供は楽しんで読んでいたので、買ってあげてよかったなぁと思います。
私、実は、これ読んで最初に思い浮かべたのは『幽遊白書』でした・・・(^^;
我が家にあるのはこの表紙のやつ↓
鬼、閻魔様・・・ハプニングであの世に行って、でもいろいろあって生き返る。
絵本に登場する鬼が、私にはちょっと「煙鬼」に見える(笑)
要所要所でリンクするものがあるというだけで、ストーリーそのものは別物だけど。
今の子たちだと、鬼と言えば『鬼滅の刃』なんだろうか?
まだ読んだこと無くて、完結したら読んでみようかなと密かに思ってる。
と、まあ、個人的な趣味での「懐かしさ」ももちろんあったんですが、やはり感じたのは日本昔話のような、“子供の頃に絵本やテレビで見た”世界観。
かと思えば、いかにも「日本の地獄」な世界観なのにファンタジー要素が入り込んでくる斬新さ。
懐かしいのに、新しい。
こたろうのアイスやさんにも、ある種の「懐かしさ」を覚えました。
アイスやさんって、今でも普通にあるけど。セリフや挿絵の雰囲気からか、「失われつつあるもの」のように感じる。
たぶん、「失われつつある」のは、「こたろうのようなアイスやさん」と、「こたろうのアイスを買いに来るお客さん」。
町の駄菓子屋さんと子供のような、他人だけど「情」で繋がる関係なのかなと。
そう考えると、なかなか切ない気持ちになり、また温かい気持ちにもなりました。
そんな温かい気持ちにさせてくれた『じごくにアイス』。
冒頭で書いた通り、この絵本そのものが、このままでは「失われつつある」作品なんですよね。うう~ん・・・切ないね。
この記事を読んで心に残るものがありましたら、手元に置いてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。